2021.08.18
床暖房を初めて販売したメーカーってどこ?
今回は「床暖房を初めて販売したメーカーってどこ?」という、かなりマニアックな質問にお答えしたいと思います。
現在では温水式と電気式、そして光床暖房で使用している遠赤外線式とあります。
そんな中でどれが一番最初に作られ、販売されたのか。
気になりますよね?
え、気にならない?
そう言わず、少しお付き合いください。
今回は床暖房の歴史を踏まえながらご紹介していきます。
どこの会社が初めに床暖房を販売した?
早速結論から申しますと…
「どこが初めに販売したか」その情報は見つかりませんでした…
無念。
ただ、日本では試験的な試みとして1910年に「佐野利器設計・清水組施工」の丸善書店という場所に、ガスによるオンドル暖房が設置されたということが分かりました。
この「オンドル暖房」とは韓国の伝統的な床暖房であり、なんと三国時代から使われていた暖房方法です。
床下に燃焼煙を流すという技法を使って部屋を暖めます。
現在の様な「床暖房」といった概念は無かったのですが、大昔から「床を温めたい」という気持ちはあったということですね。
ただ、当時の床暖房技術というのは「贅沢」「発達しすぎた暖房設備」と言われていました。
また、第2次世界大戦も始まってしまい床暖房という技術は普及しませんでした。
今の形になったのはここ50年ぐらいの話
現代の形の床暖房は1960年代から始まります。1965年に「神奈川県庁会議場」という建物に、今でいう電気式の床暖房が採用されました。
当時は住宅用に使われるのではなく路面の凍結防止策として道路の下に電熱線を通していました。
これは現在普及している床暖房の元となるシステムです。
会議場を皮切りに企業オフィスや、工場などといった施設へ、そして1970年に一般の住宅に採用され始めました。
また、1975年には温水式床暖房が登場し、マンションなどに導入されることも珍しくなくなりました。。
実は古代ローマ時代からあった?
調べると、さらに古くから床暖房があったということがわかってきました。
床暖房は紀元前95年頃、古代ローマの建築家「ゼルギウス・オラタ」により考案されましたと言われています。
彼は「ハイポコースト」という床下や壁に薪や炭を燃やすことで発生する燃焼ガス(煙)を床面や壁面に導き、室内を温めるという方法を編み出し、ハイポコーストは主にアルプスの北側で当時用いられました。
また、ハイポコーストの発展型として溝式床下暖房と呼ばれる燃焼ガを部屋の四隅にしっかりと行渡らせる、コンクリート床を採用して長時間にわたって快適な温かさを保持できるようにしたもの登場しました。
こちらは姿を変えながら19世紀ごろまで用いられました。
また、記事の始めに出てきた「オンドル」と呼ばれる韓国由来の床暖房。
基は中国の「炕(カン)」と呼ばれる暖房方法から発展させた床下暖房のようです。
ハイポコーストと同様に燃焼ガスを床下に巡らせて暖を取ります。
「炕(カン)」では部屋の一部分を温めるのに対して、「オンドル」は部屋の床下いっぱいに煙道を作るので部屋ごと暖まるという違いがあります。
また日本では、戦前朝鮮半島を植民地化という時代背景により日本人が「オンドル」を体験した為、明治初期には床下暖房の技術が輸入されてきました。
また、近年では「オンドル」が無形文化遺産にも登録され、世界的にもオンドルは伝統的な韓国の生活文化として認識され始めました。
まとめ
どのメーカーが初めて床暖房を販売したかというのは見つかりませんでしたが、床暖房とはどのような歴史を辿って生まれてきたのか?ということは少しわかってきました。
現在では床暖房はハイテクな暖房システムとうイメージがあるかもしれませんが、どの時代にも「床を暖かくしたい」という思いはあったということですね。